水処理工学とは

水処理工学は、自然界の水を人間が利用できる状態にするための技術や方法を研究する分野です。水質の改善や水資源の管理を通じて、公共の健康や環境保護を目的としています。水処理は、飲料水の供給、工業用水の処理、廃水の管理など、多岐にわたる応用があります。

水質とは

水質は、水の化学的、生物学的、物理的特性を指します。水質が良好であることは、健康や生態系にとって非常に重要です。水質を評価するためには、様々な指標が用いられます。一般的な水質指標には、pH、溶存酸素、濁度、栄養塩（窒素やリン）などがあります。

水質指標の解説

pHは水の酸性またはアルカリ性を示す指標で、通常は0から14の範囲で表されます。7が中性で、それ以下は酸性、以上はアルカリ性です。飲料水のpHは通常6.5から8.5の範囲が望ましいとされています。

溶存酸素は、水中に溶けている酸素の量を示します。水生生物が生きるために必要な酸素が含まれているかどうかを判断する重要な指標です。一般的に、溶存酸素濃度が5mg/L以上であれば、水生生物が健全に生息できるとされています。

濁度は水の透明度を示し、水中に浮遊している微小な粒子の量を表します。濁度が高いと、水の利用に支障をきたすだけでなく、水生生物の生息環境にも悪影響を及ぼします。通常、飲料水の濁度は1NTU以下が望ましいとされています。

栄養塩、特に窒素とリンは、水の富栄養化を引き起こす要因となります。水中に過剰に存在すると、藻類の異常繁殖を引き起こし、最終的には水質の悪化を招きます。窒素は通常、NO3-（硝酸態窒素）として測定され、リンはPO4（リン酸）として測定されます。

水処理の方法

水処理には多くの方法がありますが、主に以下のプロセスが用いられます。

まず、物理的処理があります。これは、フィルターや沈殿槽を使用して、水中の大きな粒子や浮遊物を取り除く方法です。次に、化学的処理があります。これは、薬剤を添加して水質を改善する方法で、消毒や酸化還元反応が含まれます。最後に、生物学的処理があります。これは、微生物を利用して有機物を分解し、水質を改善する方法です。