システムエンジニアリングにおけるクラス図は、オブジェクト指向設計の重要な要素です。本記事では、初心者向けにクラス図の用語解説とその使い方について詳しく説明します。
クラス図の基本概念
クラス図は、システムの構造を視覚的に表現するための図です。オブジェクト指向プログラミングにおいて、クラスはデータとそのデータに関連する操作をまとめたものです。クラス図は、システム内のクラス間の関係や属性を示すことで、全体の設計を理解しやすくします。
クラス図の構成要素
クラス図は主に以下の要素で構成されています。
クラス
クラスは、オブジェクトの設計図であり、属性(データ)とメソッド(操作)から成り立っています。クラスは矩形で表され、上部にクラス名、中央に属性、下部にメソッドが記載されます。
属性
属性は、クラスが持つデータのことを指します。例えば、「人」というクラスであれば、「名前」や「年齢」が属性となります。属性は通常、データ型とともに記載されます。
メソッド
メソッドは、クラスが持つ操作や機能を表します。例えば、「人」クラスには「話す」や「歩く」といったメソッドが考えられます。メソッドも属性同様に、データ型や引数を持つことがあります。
関係
クラス同士の関係を示すのが、クラス図の重要な部分です。主な関係には以下のものがあります。
継承
継承は、あるクラスが別のクラスの特性を引き継ぐ関係です。例えば、「動物」クラスから「犬」クラスが継承される場合、犬は動物の特性を持ちます。継承は矢印で表され、親クラスから子クラスに向かって引かれます。
関連
関連は、クラス同士の関係を示します。例えば、「学生」クラスと「学校」クラスが関連している場合、学生は学校に所属しています。関連は線で表され、場合によっては多重度(1対1、1対多など)を示すこともあります。
集約と合成
集約は、部分と全体の関係を示しますが、部分が独立して存在できる場合です。一方、合成は部分が全体に依存している関係で、全体が消滅すると部分も消滅します。これらはそれぞれ異なる図形で表現されます。
クラス図の使い方
クラス図は、システムの設計段階で非常に役立ちます。以下のステップでクラス図を作成することができます。
ステップ1: 要件定義
システムの要件を明確にし、何を実現する必要があるかを理解します。これにより、必要なクラスやその属性を洗い出すことができます。
ステップ2: クラスの特定
要件に基づいて、必要なクラスを特定します。各クラスの役割を明確にし、関連するクラスとの関係を考えます。
ステップ3: 属性とメソッドの定義
特定したクラスに対して、必要な属性とメソッドを定義します。この段階で、データ型や引数も決定します。
ステップ4: 関係の設定
クラス間の関係を設定します。継承、関連、集約、合成などを考慮し、正確に表現します。
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